食えないフリーランス。食えるフリーランス。どちらもよく見てきましたが、両者にフリーランス論を尋ねると必ず真逆の答えが返ってくる。
「フリーランスは食えないからやめておけ」という言葉を言うのは大抵は「食えるフリーランス」のアドバイスに多い。
「フリーランスはやった分だけ稼げるからやり方次第でうんぬんかんぬん…」という言葉は「食えないフリーランス」のアドバイスに多い。
実態と言葉が違う事に気付いてしまった時に、どうしてそういうアドバイスが多いのかを考えてみた。
食えるフリーランスの言葉の意味
食えるフリーランスが「フリーランスは食えないからやめておけ」という言葉を言うのは…
- 食うまでに自分が苦労してきたから
- 下地のない新米がどれだけ苦労するかわかるから
- 直感的にこいつは食えないと思われたから
- フリーランスだからこそ会社員のメリットがわかるから
- できるフリーランスは自分一人で十分だから
最後の方は冗談交じりだけど、フリーランスになりたいという人を目の前にしてやめておけと言う真理は「大変だぞ?覚悟はいいか?」という警告も含まれていると思う。
私なんかは「フリーランス最高です」という状態だからアドバイスするならもっと実用的な事になってしまうけど、マインドから教えてくれようとしている人は本当に貴重な存在だから、話はきちんと聞いておいた方がいい。
10年以上フリーランスとして自営業をしてきて思うのは、自己管理ができない人はフリーランスには向いていないような気がする。
フリーランスは言葉の響きが良いから、フリー=自由という部分だけフューチャーされがちだけどきちんとデメリットもある。
食えないフリーランスの言葉の意味
食えないフリーランスが「フリーランスはやった分だけ稼げる…」という実現できていない夢を語ってしまうのは、理想を追っている状態なのだと思う。
食えないフリーランスに「やった分は何か?」と尋ねると衝撃を受ける事も珍しくない。目の届く範囲の営業や、長年の知人から仕事をなんとかもらっている状態。
結局、なんとか食えている状況から抜け出せない負のループを自分自身で築き上げているようなもの。そんな人の言葉の意味は…
- いつか大きな仕事をとって稼ぎたい
- 会社員には戻らないと決めているんだ
- 自分のスキルがいつか評価される
- 今は実績の為に我慢しよう
という「待つ」状態が多いように思う。もっとできる事は色々あるし、やり方も千差万別なのに、なぜか食えない状況の仕事に拘ったり、フリーランスになったプライドが邪魔しているように思う。
特に食えないと嘆いているフリーランスと会った時に、型落ちでスペック不足のMacを持ち歩いている姿を見て、ぶっちゃけ「この人には仕事を頼みたくないな」と思ってしまった経験もある。
フリーランスは自分が武器なのに、仕事道具がクライアントよりも極端に低いと、相手によっては簡単に信用を落としてしまうし、実際仕事の効率も悪いのは確か。
でも、食えていないから仕事道具にお金をかけるのも先伸ばしになって、また負のループが完成する。
食えるフリーランスに必要な物
実際食えるフリーランスになるには、「実際に食っているフリーランスから学ぶ」って事が一番手っ取り早い。大成功しているフリーランスには、必ず「おっ!」という部分がある物だし、自分といくら差があっても学ぶ事はいくらでもできる。
フリーランスに拘る前にまずは食う
フリーランスの能力の前に、人間として生きる力の部分を勘違いしない方がいい。フリーランスだろうと会社員だろうとバイトだろうと、とどのつまり食う為に働いているわけだから、極貧フリーランスを選択する必要はない。フリーランスは幸いいつでも出直せるんだからね。
それでも、フリーランスの内にできる事はやっておきたい。という気持ちがある人もいると思うけど、そんなにやる気があるならフリーランスとして出来る事をきちんとやっているかを確認した方がいい。
自分の実績はきちんと管理する
食えないフリーランスには、自分がやってきた事をきちんと管理できていない人も多い。例えば作ったホームページを聞いても…。
- URLを忘れてしまった
- ブックマークしたはずなのに
- 今日はポートフォリオを持っていない
- そもそもポートフォリオを持っていない
- 会社員時代の実績を話しはじめる
という調子。特に会社員時代の実績をペラペラしゃべってしまうのは本当にダメな事って事も知らないみたいな印象。飲み会で会っているなら通用しても、お仕事の話をするとわかっている場でその返答をしたら絶対に良い仕事は回ってこない。
他にもポートフォリオが散らばっているケースも多い。一元管理して、そこを見れば(見せれば)自分の実績は全部わかります!という状態にしておく事が望ましい。
私の場合には業種ごとに見せるポートフォリオを分けて強みのアピールを絞ってやっていた時期もあったけど、そんな事をする意味のなさに気付いてからは、自分のポートフォリオはWEBで一元管理こそ最強だと思っている。
ペライチやWIXやJimdoのようなサービスを利用すればかなり見栄えの良い自分専用のホームページが持てるし、サーバーも持っていない状態だったら検討する余地はあると思う。
自分のスキルと強みを再確認する
食えないフリーランスは「あなたの強みは何ですか?」の質問に極端に弱い傾向がある。「○○できます!」という所までは、フリーランスやっていたら当たり前。仕事に繋げるなら一歩先の答えがほしい所。
例えば、紙媒体のデザインができますってだけじゃなくて、クライアントにとってどんなサービスやメリットを提供できるかって事も大事。ぶっちゃけ「紙媒体のデザインをできる」だけなら探さなくてもどこにでもいる。
スキルの中には技術だけでなく相手に喜ばれる部分を理解するスキルっていうのも実は大きい。
クライアント側からしてみれば「どうしてこのフリーランスを選んだんですか?」と聞かれた時に「絵が良かった」とは中々ならない。その裏にあるフリーランスとしての魅力が評価されているケースも多い。
「うちの為にデザインからできるリサーチを提案してくれた」と言われれば継続的なお客さんにだってなってくれる可能性は高いはず。
安すぎる仕事をするぐらいなら切る
フリーランスで食えないからって薄利多売に走るとすぐに潰れる。結局のところ悪循環だし、負のループの入り口になってしまう。極端な話、格安で仕事を引き受けるなら無料でやった方がインパクトもその後の印象も大きいと思う。
「この値段でいいのでお仕事を下さい」この発想が脳裏に浮かんだら、一度立ち止まって考えてみた方がいい。この価格でずっとやっていくのか?自分の仕事の価値はこの価格なのか?
価格交渉はフリーランスにとっては体力も相当使うかもしれないけど、なぜこの価格なのかを明確にしてあれば、堂々と提案できるはず。そこから値引きをするという流れが正常。
プロジェクトの合間の空き時間を埋めたいというぐらいの状況でもなければ、自分の安売りはしない方がいい。
誰もやっていない発明の前に確実な仕事を持つ
フリーランスは個性が最大の武器。だからまだ誰もやっていないようなサービスや新しい何かを追い求める事もある。でもそれは、食えるフリーランスがやること。
食えないフリーランスはまずは確実な仕事を一つ。多様性を持たせた切り口で一つ。売り切りだけでなく継続型など、形態の違うサービスで一つ。というように地盤を固める事が先決。
新しいサービスや発明でも、「○○していた人がやること」だったら使ってみよう!となるかもしれないけど、得体のしれない物だとどんなに良さそうなサービスでも人は集まらない。これからの時代はもっとその傾向が強くなると思う。
まとめ
フリーランスになる時に誓っていた自分のルール。それを「お金」の為に叶えられないフリーランスも多いように思います。
食えるフリーランスと食えないフリーランスの大勢に会ってきて、両者が真逆な言葉を言う事に違和感があったので、その真意を考えてみました。もちろん私の周りに「たまたまこういう事を言う人が多かった」というだけの話ですが、考える事は多かったです。
私はもう一度言いますがフリーランス最高だと思っています。きちんと「自分の事」と「仕事の事」と「お金の事」を理解して準備すれば、きっと必要とされるフリーランスになれると思います。
アイラブフリーランス!